ライセンスのないテクノロジー取引は顧客、輸入業者、販売業者にとってのビジネスリスクとなります
このブログは、サンパワー社の知的財産部長兼法律顧問マーク・ロビンソンが執筆しました。
ロビンソンは、ニューヨーク州、バージニア州、テキサス州で登録している米国特許弁護士です。
また、カリフォルニア州で社内弁護士としても登録しています。
2019年10月8日、サンパワーはサンパワーパフォーマンスパネル製品(米国ではSunPower P-Seriesとしても知られる)の短冊状ソーラーセルテクノロジーに関して中国で2つ目の発明特許を取得しました。この中国での最新の特許は、サンパワーマキシオンソーラーパネルを含む、業界で最も革新的な製品ポートフォリオを支える、知的財産権(IP)のグローバルポートフォリオをさらに強くします。サンパワーは、ソーラーパネルとその製造プロセスに関する知的財産権の保護に注力しています。これは、私たちの事業を保護するのみならず、お客様に安心をお届けするためでもあります。資金調達から輸入、設置まで、サプライチェーンのいずれの部分に関わっていても、強力な知的財産権で保護されたソーラーテクノロジーを使用することで、御社および御社の顧客のリスクを軽減できます。
ある製品が国内のデバイス特許を侵害している場合、または国内の製造特許を侵害するプロセスで製造された場合は、その製品の製造業者、流通業者、輸入業者、およびエンドユーザーは特許侵害の責任を問われることがあります。
特許に関する背景
特許とは、特許請求で定義された特許発明品の製造、使用、営業、販売から他者を排除する権利を与えることです。請求の範囲は種類によって異なり、機械、製造物、プロセス、組成物に対する請求として取得されます。
特許請求では、実用的な観点から以下の内容が網羅されます。
(1) デバイス(ソーラーパネルなど)およびそれらのデバイスに含まれる部品または資材
(2) デバイス、部品または資材の製造に使用される製造プロセス
さらに言えば、特許請求の範囲は、電子機器やプログラミングによって提供される機能など、デバイスの独創的な操作上の面も対象とすることができます。
サンパワーの豊かな発明の歴史はカリフォルニアのオフィスに展示されており、中には35年にわたり保証されている重要な特許があります。
国や管轄地域ごとに発明や特許の取り扱いが異なるものの、ほとんどの国では、世界知的所有権機関(WIPO)が管理する条約、および現地の法律や規制による類似の特許制度が存在します。管轄地域ごとに取得した特許により、明確な特許の領有権が規定されており、製造業者、流通業者、輸入業者、エンドユーザーは特許侵害を回避するための行動が求められます。
特許侵害が判明した場合、侵害者は管轄地域に応じて、販売差し止め、損害賠償、または商品の押収および破壊命令の対象となる可能性があります。通常、損害賠償では特許権者に対する補償が、逸失利益、侵害者の利益、またはライセンス料に基づいて計算され、支払われます。
グローバルサプライチェーン全体における特許の保護
部品や資材、基盤製品の製造国が複数になる場合、特許はグローバルサプライチェーンの重要なセグメントごとに戦略的に申請しなければなりません。製品サイクルの途中で輸入先が変わることもあるかもしれません。
こうした状況において堅牢で効果的な特許ポートフォリオを開発するには、複数の課題をクリアしなければならず、それには何年もかかります。たとえば、一般に米国の特許は、製造国が中国でオーストラリアに輸入される場面には役に立ちません。さらに、製品が供給、製造、販売される可能性のあるすべての管轄地域で特許を申請するには、非常に高額な費用がかかります。
そのため、一般的に競争上の重大なリスク(および潜在的な特許侵害)が予想される市場での特許出願を優先することになります。主観的な分析ですが、2019年世界知的財産指標の特許出願件数では中国と米国が独占しています。2018年には、中国で約150万件、米国では約60万件の特許出願がありました。1 <a href="https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp?id=4464&plang=EN" target="_blank">https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp</a> 対照的に、たとえばオーストラリアでは同じ年に30,000件しか特許出願がありませんでした。2 <a href="https://www.ipaustralia.gov.au/ip-report-2019-patents" target="_blank">https://www.ipaustralia.gov.au/ip-report-2019-patents</a>
ソーラーセルの製造が中国に集中し、米国と中国がソーラーパネル販売の主要な市場になっているため、製品、部品、製造方法を網羅する特許の取得についてもこの二国が中心的な市場となっています。ただし、太陽光発電メーカーのテクノロジーの価値を増大させる上で、オーストラリア、日本、EUなどの他の市場は極めて大きな重要性を持っています。
ある市場で製品の販売を開始すると、国内特許の存在は、輸入者からエンドユーザーまで取引のすべての関係者に影響を与える可能性があります。
オーストラリアなどの市場における特許の活用方法
ここではオーストラリアを例にとり、ソーラーパネルの製造国がどこであるかに関わらず、米国と中国以外の市場でも製造やデバイスの特許に価値があることを説明していきます。つまり、ソーラーパネルがオーストラリアのデバイス特許を侵害していた場合、あるいは中国(または他の国)で製造されたソーラーパネルの製造プロセスがオーストラリアの製造特許を侵害していた場合、オーストラリアでエンドユーザー、輸入業者、流通業者、その他の当事者がソーラーパネルを取り扱えば、それぞれが特許侵害の責任を問われる可能性があります。
オーストラリアのデバイス特許はソーラーパネル自体を網羅し、当該特許は「特許の期間中、発明を活用する独占権を特許権者に与える」ものとされます。*発明の活用には、ソーラーパネルを製造、販売、使用、輸入する行為が含まれます。**
*1990年オーストラリア特許法、セクション13
**1990年オーストラリア特許法、スケジュール1
製造特許の場合、特許取得済みの製造プロセスに従って製造され、その後オーストラリアに輸入されたソーラーパネルに権利が及びます。特に、Apotex Pty LtdとWarner-Lambert Company LLC (No 2) が争った FCA 1238の裁判において、オーストラリア連邦裁判所は「関連する侵害行為は、特許領域外での手法の利用ではなく、特許取得済みの方法を使用して作られた製品のオーストラリアでの(輸入および販売による)活用である」と述べています。3 <a href="https://www.judgments.fedcourt.gov.au/judgments/Judgments/fca/single/2016/2016fca1238" target="_blank">https://www.judgments.fedcourt.gov.au/judgments/Judgments/fca/single/2016/2016fca1238</a> 同様の特許権は、米国の35 U.S.C.271 (g)および日本を含む他の多数のグローバル市場にも存在しています。
サンパワーが特許を有していることによるお客様へのメリット
サンパワーの特許は、特許出願または特許として公開され、競合他社にとっては「先行技術(prior art)」となります。具体的には、競合他社は太陽光発電に関する発明について、サンパワーの先行技術や他のすべての先行技術に対して新しく明白でない限り、有効で強制力のある特許を取得できません。顧客、輸入業者、流通業者は特許侵害の責任を問われる可能性があるため、強力な特許ポートフォリオを有するサンパワーのような企業から製品を購入することで特許侵害のリスクを軽減できます。
短冊状ソーラーセルテクノロジーにおけるサンパワーの特許ポートフォリオの拡大
2015年、サンパワーは独自のセル相互接続テクノロジーを開発したCogenra Solar社(本社:カリフォルニア)を買収しました。このテクノロジーにより、従来のソーラーパネルでは大幅な電力損失と劣化の原因となっていた、はんだ付けと銅接続リボンの必要性をなくすことができました。
Cogenra社の研究開発チームとサンパワーの製造・素材の専門知識を連携することにより、サンパワーパフォーマンスパネルという革新的な新製品が開発されました。以来、サンパワーは2 GW以上のパフォーマンスパネルを製造・販売しており、今日までの短冊状セルパネルの設置数としては業界最多を誇っています。しかし、今や他のメーカーがこの分野に参入しており、一部では知的財産権について混乱も生じています。サンパワーは、短冊状ソーラーパネルの分野で事業を大規模に展開している第一人者として、製品の法的な立場には自信があります。すべての会社がこのような主張ができるわけではありません。
2019年10月2日に認可された日本特許JP6582351B2の図面4 <a href="https://patents.google.com/patent/JP6582351B2/en">https://patents.google.com/patent/JP6582351B2/en</a>
パフォーマンスパネルの開発以来、サンパワーは技術基盤や製造プロセスを保護するため、米国で多数の特許を取得しています。これらの特許は、サンパワーが積極的に取得している短冊状ソーラーセルテクノロジー特許の国際的なポートフォリオ拡大の基盤となっています。サンパワーは2019年だけでも、欧州の特許1件、中国の発明特許2件、日本の特許3件を取得し、テクノロジーの保護を強化しています。さらに、オーストラリアと韓国の特許庁においても出願中の特許があります。サンパワーは、技術的革新を下支えする知的財産権の保護を製品ポートフォリオ全般において引き続き強化しています。
サンパワーの短冊状ソーラーセルテクノロジーの詳細については、パフォーマンスシリーズの製品ページをご覧ください。