スウェーデンのベステルビーク(Västervik)中心部に位置するフローティングホテルとレストランのスロッツホルメン・オン・ウォーター(Slottsholmen on Water)は、サステナビリティをベースに今も将来も何世代にもわたって人が集まり楽しめる場所にするという、明確なビジョンをもとに生まれました。
このホテルは、ABBAのメンバーとして有名なホテルオーナーのビョルン・ウルヴァース氏(Björn Ulvaeus)とその家族が発案したもので、デザインと運営にはサステナビリティに取り組む姿勢が随所に見られます。
スロッツホルメンは、浮桟橋や太陽光発電システム、地元料理のレストランなどの敷設・運営により、サステナビリティの強化を目指すヨーロッパや世界のホテルの模範を示しています。
スウェーデンのデザインと革新的なソーラーテクノロジーを融合
絵のように美しいベステルビークのマリーナに位置するスロッツホルメンは、群島を見渡す3棟の建物で構成されています。33室のフローティングルームを中心としたホテルコンプレックスには、ほかに洗練された内装の高級スイートとレストランの棟が1つずつあります。
フローティングホテルの屋上には、合計412枚のマキシオンソーラーパネルが設置され、年間151,000kWh、ピーク時には147 kWの電気を出力しています。
効率の高いマキシオンソーラーパネルは、ホテル業で使用する電力だけでなく、周辺の海水から新鮮で飲料可能な水を供給する海水淡水化プラントの動力源としても使用されています。このホテルでは、必要な電力の約4倍の電力を発電しています。レストランや高級スイートにも十分な電力を供給しており、余剰分は従来の電力系統に送電されます。
その結果、ほぼ1年を通じてエネルギーの自給自足を達成しており、さらに自給率を高めるため、320kWhのLFP電池の設置を予定しています。ソーラーパネルとLFP電池を合わせると、年間約90トンのCO2を削減できます。
さまざまな問題を解決する太陽光発電
同ホテルのオーナーは、長期的な視野に立ち、地熱暖房システムに電力を供給して、3棟すべてに十分な暖房とスパの温水を生成できる太陽光発電システムの導入を検討していました。
そしてマキシオンソーラーパネルは、日々の運営に必要なエネルギー、敷地内の海水淡水化プラントへの電力、地熱暖房システムの電力を供給するという3つの目的すべてに、十分な電力を生成しています。
また、パネル全体が黒い屋根に溶け込んでいるかのような特殊加工を架台に施すことで、周囲に与えるホテルの視覚的な影響も最小限にとどめています。
マキシオンの現地パートナーであるSunnyFutureが設置したマキシオンソーラーパネル。ホテルオーナーは、性能、耐久性、サステナビリティや透明性等、かれらが掲げるビジョンと同じ基本原則に則ってマキシオンパネルを厳選しました。
ソーラーパネルのサステナビリティと透明性
マキシオンパネルは、Declareラベルによって原材料が表示されている唯一のソーラーパネルです。このDeclareラベルは食品のラベルのように、パネルの製造方法や製造場所について理解するのに役立ちます。
このラベルには、パネルの原材料、寿命、リサイクル可能性などが記載されています。これは、マキシオンのソーラーパネルに有害物質が含まれておらず、リサイクル中にも有害廃棄物処理の必要性が生じないことを意味します。
その結果、パネルは人体にも環境にも安全であり、今も将来も何世代にもわたって完全に持続可能なホテルであることを目指したスロッツホルメン・オン・ウォーターの理念にも一致しました。
ホテル業界のサステナブルなモデル
ホテルの二酸化炭素排出量は、地域によっても異なりますが、ホテル業界は他の不動産業界と比べて、エネルギー効率化対策の導入が世界的に遅れています。
国連世界観光機関よると、世界の観光業界で排出されるCO2排出量5%のうち、ホテルが占める割合は2%と推定しています。
国際ツーリズムパートナーシップ調査によると、パリ協定で合意された摂氏2度の基準値に収めるため、ホスピタリティ業界は2030年までに66%、2050年までに90%の排出量を削減する必要があります。
幸いにも、スロッツホルメン・オン・ウォーターのようなサステナブルなホテルが正しい方向に舵を切り、ホテル業界やソーラー業界に好ましい模範例を示しています。
2021年、スウェーデン太陽光発電協会(Svensk Solenergi)は同ホテルの功績を称えてソーラーエネルギー賞ファシリティ・オブ・ザ・イヤー部門を授与しました。
プロジェクト詳細
パネル | SunPower X21 350 Black |
ピーク電力 | 147 kW |
平均変換効率 | 21.82% |
年間電力量 | 151 MWh |